僕は船酔いをする。
だから、広大な海で釣りをしたいとはあまり思わない。
数回、伊勢志摩の沖で釣りをしたことはある。
すぐに気分が悪くなり、ほとんどの時間、動かずに目をつぶっていただけだった。
海が好きなだけに、残念でならない。
この写真の男性は、エクセ カヌーツアーズ 代表 松原宏之である。
代表は、船を所有している。
かなりの釣り好きだ。
釣り仲間が大勢いるので、友達の船に乗せてもらったりもしている。
そんな代表に釣り勝負で勝つには、どうしたらいいか?
去年の夏、毎日のように考えた。
魚の大きさ勝負では、負けが見えている。
大きな魚を釣るには、沖に出なければならないからだ。
船酔いする僕には、勝ち目がない。
ある日、
『魚の顔の可愛さで勝負をするんだ』
そんな心の声が聞こえた。
いい考えだ。
勝算が見えてきた。
去年の9月下旬に、友達と5人で三重県の尾鷲湾へ行った。
ここは波がほとんどなく、静かだという。
僕でも海釣りができる場所である。
今回、代表は参加していない。
この尾鷲湾で僕が魚釣りの写真を撮り、過去の代表の釣り写真と比べる勝負だ。
絶対に負けられない。
ウサイン・ボルトのポーズをしている。
彼には、この海が陸上競技場に見えているのだろうか。
友達が、針にエサをつけ始めた。
みんなは、黙々と準備をしている。
いよいよスタートだ。
「おおっ!?」
そんな声が聞こえた。
魚が食いついたようだ。
当日、一匹も釣れなかった者はいなかった。
全員が魚をゲット。
夕方から銚子川でキャンプをする約束があるため、1時間で釣りは終了。
僕は2匹釣れた。
さあ、あとは代表との勝負が残っている。
僕は、代表の釣り写真を数枚入手した。
絶対に負けられない。
写真を見てみよう。
これは可愛くない!
このサメをかわいいと思う人は、まずいないだろう。
僕が釣った魚のほうが、
かわいい!
断然かわいい。
水槽に入れて、家で飼いたいぐらいだ。
疲れて帰宅したとき、このフィッシュに癒されるのもいいかもしれない。
では、代表の写真をもう1枚、見てみよう。
・・・・・・。
怖すぎる。
帰宅したときに、
「おかえり~」
って言われたら、僕は逃げ出すだろう。
間違いない。
勝負がついたようだ。
僕の勝ちである。
だが、顔の可愛さを計る尺度は、人により様々。
美的センスのある女性に聞いてみたほうが、公平だ。
実際に写真を見てもらい、判断してもらった。
「どの顔が、一番かわいいと思う?」
「そうね・・・・、この顔が一番カワイイ!」
「笑顔が超カワイイ!」
「・・・・・・・・」
「魚の顔のことを聞いているんだけど・・・」と言いそうになったが、我慢した。
僕の聞き方がまずかったのだ。
潔く、負けを認めよう。
代表の勝ちだ。
今年も、来年も、三重県の自然は無くならない。
また勝負できる機会があるはずだ。
アウトドア対決を、10年後・20年後も楽しみたいものである。
記者: 伊勢育ちTaka